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2020年2月から一部の裁判所で、クラウドサービスを活用した争点整理が始まるそうです。
その一部の裁判所というのには、大阪の裁判所も含まれているようです。
今は裁判期日に一方当事者は必ず出頭しなければならないのはもちろんですが(例外もあって、双方代理人が電話会議で出頭して期日を進めることもあります)、判決文の作成に必要な当事者目録・請求の趣旨・請求の原因等の書類や、複雑な事案において提出を要求される争点整理の書面などは、全てUSBなどの媒体に入れて、それを裁判所に持参しなければならないことになっています。
「メールで送っちゃダメですか?」と何度も聞いてみましたが、何度聞いても「セキュリティの関係で無理なんです」との回答を得てきました。
持参したUSBについては、まずはそのUSBがウイルスに汚染されていないかどうかをチェックした上でファイルを開けておられるようで、まあまあ時間を取られてしまいます。
クラウドサービスを利用するようになれば、書面の提出もオンラインでできるようになるそうです。
政府の有識者検討会の提言では、法改正を経て、22年度頃にはネットで口頭弁論を行えるようにし、最終的に訴状の提出も可能とするよう求めているとのことです。
ネットで口頭弁論?!
一体どのような形で口頭弁論が行われるのか、とても興味があります。
シンガポールでは弁護士が訴訟記録をオンラインで見ることができたり、証人尋問などのやりとりを自動録音して公式な裁判記録にするシステムも導入されているようです。
現在の日本の裁判では、証人尋問の内容を録音したものを反訳(文字起こし)する必要があるかどうかを尋ねられ、和解が成立しそうな場合には要りませんと答えることが多いのですが、その場合には、録音そのものについては事件記録の一部をなさないらしく、あとでやっぱり聴き直したいというようなことがあったとしても、出してもらうことができません。
シンガポールのように音声自体を公式な裁判記録にしてもらえるのであれば、事件が終了した後も必要に応じて閲覧謄写ができるようになると思われます。
しかも、クラウド上で保管してあれば検索も容易になり、現在のように、「終了事件は記録庫で保管していますので、探し出すのに時間がかかります」などと言われることもなく、瞬時に出してもらえることが期待されます。
弁護士なら誰でも終了した事件についてもネット上で記録の閲覧ができるようになれば、弁護士自身の仕事も事務員さんの負担も、本当に軽くなりそうです。
しかし、常に最先端の技術を取り入れていかなければ、簡単な仕事すら出来なくなるかもしれませんね。
2019年5月17日 弁護士檜山洋子
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